津波による海洋ゴミ

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Tsunami Marine Debris (English)
[[津波による海洋ゴミ]]

2011年3月、日本は大規模な地震と地震によって引き起こされた津波に襲われた。この災害で、何千もの人命が失われ、数十億ドルに及ぶ物的被害がもたらされ、原子力発電所から放射性物質が放出されることになった。津波は、建物、船舶、自動車、大量の小物を含む膨大な量のゴミを海に押し流した。

卓越海流は、「津波によるゴミの集積」を、米国とカナダの西海岸に向かって太平洋を横切って東に押し流している。時間が経つにつれてゴミは分散し、衛星からはまとまったゴミの集積として見えなくなった。ゴミの一部は、早ければ今年、2011年から2012年、の冬までにハワイ諸島の北西部に漂着し、2013年には米国の西海岸に接近し、海流に押し戻されて2014年から2016年にはハワイ諸島に漂着するだろうと予測されている。とても軽量なゴミのなかにはもっと早く移動するものもあるかもしれない。実際に、日本からの浮きが2011年12月にワシントン州の海岸で発見された。もっと重いゴミは移動にさらに長い時間がかかるが、浮きの移動時間は、卓越風によって加速されたことは確かだ。

津波によるゴミのコンピューターモデル。ソース: J. Churnside(米国海洋大気庁 航空宇宙研究事務所)

集積に含まれるゴミは、必ずしも西から東へ直線にそって移動するわけではない。ゴミの一部は、北太平洋旋回に取り込まれ、長年にわたってゆっくり時計回りに回転し続けるだろう。ハワイ諸島と北太平洋のその他の島はゴミの影響を受けるだろう。

ゴミは多種多様な大きさも原材料(木材、金属、ガラス、プラスチック)も異なる品物から構成されているため、移動時間と軌道もまちまちで、そのためそれらを予測することが難しい。一部の素材でできたゴミは海に沈み、一部は分解され、その他のゴミは米国の海岸に流れ着くだろう。

米国海洋大気庁は、津波による海洋ゴミについて、よくある質問への回答とともに、多くの有用な情報をまとめて提供している。米国海洋大気庁ウェブサイトにも掲載されている、この短いビデオを参照のこと。

おそらく、もっとも一般的な懸念事項の一つは、ゴミが放射性物質で汚染されているのではないかということだ。米国海洋大気庁の解答は以下の通り:

「科学者の間では、いくつかの理由で、その可能性はほとんどないだろうということで意見が一致している。
  • 最初に、津波によるゴミは、広範囲にわたる日本の沿岸地域から排出されたものだが、その一方で、被害を受けた福島第1原発の原子炉から汚染水の漏れが見つかったのは一箇所に限定されている。したがって、ゴミの大部分は原子炉から何マイルも離れた場所にあり、放出された放射性物質と接触することはなかった。
  • 次に、原子炉から汚染水が海に漏れ始めたのは、ゴミが海に押し流されてから数日から数週間後だ。汚染水が海に漏れ始めた時点で、ゴミは、すでに原子炉から何マイルも離れた海中に流され、海流と風によってさらに沖に向かって押し流されていた。汚染水もまた、海流によって移動しているので、ゴミが汚染水にさらされる可能性はほとんどない。
  • 最後に、日本から米国に入国する船舶の放射能量は監視されていて、測定値は警戒が必要なレベルを下回っている。福島地域からのゴミが発見されたある例では―ロシアの調査船STSパラダによって回収された小型船の例では―ゴミの放射能レベルが測定されたが、測定値に異常はなかった」

ハワイと西海岸のサーフライダー・ファウンデーションの支部では、津波によるゴミについて発表される情報を注意深く追跡している。カウアイ支部では、専門家が集まるきっかけとなった、1日講習会の開催を支援した。ワシントン州オリンピック半島の支部では、著名な海洋学者との会合を主催した。(その会合で、日本からの浮きがワシントン州の海岸に漂着していたことを知ることになった)。そして、オレゴン州の支部では、別の地元の団体とオレゴン・シ―・グラントと提携して、州全体のビーチクリーンとゴミの監視活動を組織するために米国海洋大気庁に交付金申請を提出した。 また、サーフライダー・ファウンデーションでは、米国海洋大気庁のNOAA ウェビナーも追跡している。そして、ハワイに最初にゴミが漂着するであろうと予測されることから、ハワイでの経験にも注目している。

北太平洋と北太平洋沿岸で、まとまった量の海洋ゴミの目撃情報が必要とされている。ゴミの目撃情報は、米国海洋大気庁の海洋ゴミプログラムDisasterDebris@noaa.govに、報告することができる。

もしあなたが海洋ゴミの基本的な情報収集に協力したいと考えているのなら、海洋ゴミ追跡のためのスマートフォンのアプリケーションをダウンロードして、情報の記録、可視化、共有のために利用することを検討してみてはどうだろう。

訳注:この記事は、サーフライダー・ファウンデーション・USAによってまとめられたものを、サーフライダー・ファウンデーション・ジャパンのボランティアが翻訳したものです。アメリカ合衆国の環境問題、政府機関、法律などに基づいて書かれたもので、日本の現状に基づいて書かれたものではありません。