堆積物汚染
From Beachapedia
次の情報の多くは、コースト・アライアンスにより作製された、堆積物汚染のファクトシートから収集されたものです。 堆積物汚染の問題に関する詳細情報については、クリーンオーシャンアクションのウェブサイト（Clean Ocean Action）を参照してください。
堆積物汚染とは何ですか？
工場、農地、都市からの流出水に含まれる汚染物質は、河川、湖沼、海洋の底にある堆積物（液体の底の沈殿物質）まで水によって運ばれます。PCB、ダイオキシン、農薬、重金属、炭化水素とその他の汚染物質による堆積物汚染は、米国のすべての沿岸地域で発見されています。米国環境保護庁（EPA）による、1998年の調査では、汚染が問題となっている場所が何百も特定されました。その場所の多くは沿岸地域に位置しています。実際、EPAによると、米国の主要な港の全てが、中度から重度の堆積物汚染の被害を受けているということです。
人、魚、野生生物への被害：
人の健康への影響：
堆積物に含まれる汚染物質は、すでに人間の健康に被害を与えています。有毒な堆積物に含まれる汚染物質は、魚、アヒル、その他の野生生物に蓄積され、食物連鎖に取り込まれていきます。最終的には、これらの有毒化学物質は私たちの食卓に並ぶ事になります。
- ミシガン湖の堆積物に含まれるPCBで汚染された魚を食べた女性が、頭部が小さく、出生体重が低く、反射の鈍い、動きの遅い子供を出産したことが知られています。
- ウィスコンシン州のフォックスリバーのある地域で捕れた魚を食べた人は、魚の中の高レベルのPCBが原因で癌のリスクが増加していると推定されています。
- ダイオキシン、農薬、その他の化学物質は、人間の体内でエストロゲンに似た働きをするため人間の生殖機能に悪影響を与えます。精子数の減少、前立腺癌の増加、性器の縮小は、有害物質によって汚染された魚や野生生物を食べることが原因で起こると考えられている健康被害のいくつかの例です。
魚への影響：
生息している多くの魚は健康で食用にも適していますが、アメリカ先住民、低所得層の漁師、その他の人たちなど、堆積物が汚染されているとは知らずにその水域でとれる魚（特に水底に生息する魚）を食べている人たちには健康被害の危険があります。
- ワシントン州のピュージェット・サウンドとニューヨーク湾に生息する底魚に発生する腫瘍と「ヒレの腐敗」が報告されています。
- 堆積物汚染にさらされることによって引き起こされる遺伝子の突然変異が原因で、南カリフォルニアの一部の地域で漁が禁止されました。
- 最近の米国でおこなわれた2つの地質調査研究は、ホルモンの不均衡を起こしている魚から発見された汚染物質は有毒な堆積物が原因だとしています。
野生生物への影響：
水とその底にある堆積物の汚染は、野生生物へ被害を与えています。 五大湖の科学者が堆積物汚染が野生生物へあたえる影響を調査しており、その調査結果はとても深刻なものです。 五大湖地域では、以下のような奇形が野生生物の中に発見されています:
- 部分的に発達した目と脳を持ち体の一部がないひな鳥。開いた胃、内反足、発育不全と交差したくちばしを持った成鳥。
- 尾のないカメ。
- 雌の特性を持って生まれた雄の鳥。
有毒な堆積物が私たちの経済に与える被害
毎年、米国陸軍工兵隊は、ニューヨーク市からロサンゼルス市まで延びる4車線の道路を20フィートの深さの泥で覆ってしまうのに十分な量の、約4億トンの堆積物を、米国の河川、港湾、河口から浚渫しています。浚渫された堆積物の全てが汚染されているわけではありませんが、検査の結果、船の航行を確保するために浚渫が必要な多くの港湾で汚染が起きている事が明らかになっています。汚染された堆積物を浚渫すると汚染物質が水に溶けだして、健康な魚類個体群ときれいな水に依存している海鮮食品業と観光産業をさらに脅かしてしまうことになりかねません。浚渫された堆積物は必ずどこかに投棄されなければなりません。汚染された堆積物を、沿岸地域や五大湖に投棄するべきではありません。汚染された堆積物を安全に管理する事ができないため、一部の地域では浚渫することが困難になっています。
私たちに何ができますか？
- EPAは、堆積物の汚染基準や標準を設定する必要があります。
- EPAは、発育段階で影響を受けやすい汚染に敏感な種を、堆積物汚染から保護するためのガイドラインを確立する必要があります。
- 浚渫の必要性は、浚渫と浚渫された堆積物の処分によって汚染が悪化することで引き起こされる、海鮮食品業と観光産業への潜在的な経済的不利益も考慮して検討されるべきです。さらに、浚渫された堆積物の処分方法は、環境への影響と人の健康への被害を考慮して決める必要があります。
- 浚渫と浚渫された堆積物の処分許可は、公害防止と予防のための戦略と連携させて考える必要があります。
- EPAは、検査されていない堆積物を海やその他の水域に投棄することができるように海洋投棄規制を見直すべきではありません。また、ほかの方法で規制を緩和するべきではありません。
- 水質汚染防止法およびその他の堆積物汚染の規制や防止を目的とする法律を緩和する取り組みには反対しなければなりません。
- 米国は、沿岸海域に汚染された堆積物を投棄することを禁止するべきです。1997年9月1日の時点で、ニュージャージー州は、汚染された堆積物を海域に投棄することを禁止した最初の州になりました。 その他の州も、ニュージャージー州の例に従うべきです。
外部リンク
ニュージャージー州のクリーン・オーシャン・アクション（Clean Ocean Action）は、堆積物汚染について大変参考になるウェブサイトです。
EPAの、「水中の堆積物汚染」ウェブサイト（Contaminated Sediment in Water ）もぜひご覧になってください。
| 訳注：この記事は、サーフライダー・ファウンデーション・USAによってまとめられたものを、サーフライダー・ファウンデーション・ジャパンのボランティアが翻訳したものです。アメリカ合衆国の環境問題、政府機関、法律などに基づいて書かれたもので、日本の現状に基づいて書かれたものではありません。 |