太平洋ゴミベルト
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「太平洋ゴミベルト」(ゴミベルト)は、サンフランシスコとハワイのほぼ中間にある北太平洋の領域である。この領域では、海流が収束し、主にいろいろな種類のプラスチックゴミが集積している。ゴミベルトは、北太平洋循環流によって形成される。 循環流は、コリオリの効果によって起こる海流の循環システムである。
ゴミベルトのプラスチックゴミのほとんどは、陸起源のゴミで、従来のプラスチックは生分解しないし、現在のバイオプラスチックも海洋環境で生分解しないため、長い漂流期間に耐えてそこに漂着した。全ての種類のプラスチックは、海洋環境では光分解するだけなので、プラスチックは、さらに細かい破片に破壊される、そして/または、 時間がたつにつれてUV光にさらされて色を変えるだけである。
「ゴミベルト」と聞くと、海の真ん中に浮いているプラスチックの島を思い浮かべる人が多いかもしれないが、この「ゴミベルト」は、分解のさまざまな段階にあるプラスチックが水柱の上層に浮遊している、プラスチックのシチューでおおわれた広大な領域という説明のほうが的確だろう。アルガリタ海洋研究財団の研究とスクリップス海洋研究所のシープレックス調査によると、ゴミベルトの中やその周辺で、遠海魚がプラスチックを食べていることが実証されている。
ゴミベルトに集積したゴミは、時間とともに循環流によってゴミベルトの外に押し流される。この例が、ハワイ諸島の北東に面する海岸に漂着するゴミである。そこに漂着するプラスチックゴミは膨大な量になることもある。多量のプラスチックが胃から発見されたコアホウドリの死骸の写真によって、プラスチックが死に至る原因になることが実証され、この写真を見た多くの人たちが、プラスチックごみを減らす努力をするように動機付けられた。
個人や団体がゴミベルトを除去することを議論しているが、あまり現実的ではない。「ゴーストネット」(訳注:海に廃棄された網。そのまま放置されれば海洋生物を巻き込んで殺してしまう)や放置された漁具を回収する有効なプロジェクトはいくつかある。しかし、プラスチックのほとんどが非常に小さい断片なので除去作業を実行すれば、海洋生物にも影響を与えてしまい、除去作業から得られる肯定的な面を打ち消してしまうだろう。
この問題を解決するために一番よい方法は、ゴミベルトの原因となるプラスチックゴミを出さないようにして、問題を根本から解決することである。